ゆらぎの詩歌日記

好きな詩や歌、俳句などについて語ります

谷川俊太郎の詩

好きな詩歌について書き綴ります。今日は、谷川俊太郎の詩について。

 

(シャガールとこの葉)

 貯金をはたて買ったシャガールのリトの横に

 道で拾ったクヌギの葉を並べてみた

 

 値段があるものと

 値段をつけられぬもの

 

 

 ヒトの心と手が生み出したものと

 自然が生み出したもの

 

 シャガールは美しい

 クヌギの葉も美しい

 

 立ち上がり紅茶をいれる

 テーブルに落ちるやわらかな午後の日差し

 

 シャガールを見つめていると

 あのひととの日々がよみがえる

 クヌギの葉をみつめると

 この繊細さを創ったものを思う。

 

 一枚の木の葉とシャガール

 どちらもかけがえのない大切なもの

 流れていたラヴェルのピアノの音がたかまる

 今日が永遠とひとつになる

 窓のむこうの青空にこころとからだが溶けていく

 ・・・・この涙はどこからきたのだろう