ゆらぎの詩歌日記

好きな詩や歌、俳句などについて語ります

好きな詩~青い夜道

好きな詩~青い夜道

 

 いっぱいの星だ

 くらい夜みちは

 星雲の中へでもはいりそうだ

 とほい村は

 青いあられ酒を あびている

 

 ぼむ ぼうむ ぼむ

 

 町で修繕(なほ)した時計を

 風呂敷包みに背負った少年がゆく

 

 ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・

 

 少年は生きものを背負ってるようにさびしい

 

 ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ・・・

 

 ねむくなった星が

 水気を孕んで下りてくる

 あんまり星が たくさんなので

 白い穀倉(こくぐら)のある村への路を迷ひそうだ

 

 

 田中冬二の詩集『青い夜道』より 

 ふるさとへの郷愁を静かに紡ぐ。夜の詩が多い。なんとなく心惹かれるものがある

f:id:rokuai7:20201009153845j:plain