ゆらぎの詩歌日記

好きな詩や歌、俳句などについて語ります

雨の歌(その2)

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(北斎 燕と紫陽花)

 

 

 さみだるる一灯長き坂を守り (大野林火)

長い坂に一つだけ街灯があって坂を照らしている。その姿はいつも変わらないのに、さみだれの中で灯の輪をまとい静かに立っている。坂をひとり守っているかのように。

 

この歌に、言志四録(言志晩録第13条)の一節を思い出します。

 ”一燈を提げて暗夜をゆく

  暗夜を憂れうるなかれ

  ただ一燈を頼め”

この一鐙(一灯)は人によって違うでしょう。「夢」、「希望」あるいは「愛」。人によって違うでしょう。しかしいつも自分の気持ちをしっかりもってゆけば、よい結果が生じるであろう、というのが意味するところです。