ゆらぎの詩歌日記

好きな詩や歌、俳句などについて語ります

好きな句(木の実降る)

 
  ”木を植えし男の墓に木の実降る”
               (鈴木貞雄)

 

 トヨタ中興の祖とされたトヨタ自動車最高顧問の豊田英二氏が亡くなられた。トヨタ自動車トヨタ自動車販売の「工販合併」を成し遂げ、カローラを市場に送り出してモータリゼーションの時代を牽引した。1966年に発売されたカローラは、この9月で累計4,000万台に達した。そんな男に、9月18日の読売新聞の編集手帳子は、そのコラムでこの句を贈り、”4000万粒の、木の実が降る音に送られての大往生である”と記した。

 粋なコラムである。この句は、鈴木貞雄の『森の句集』に採録されているが、私家版である。よくぞ、この句を見つけ出し、このタイミングで紹介したものと、そのセンスに感じ入った。