好きな句(桜紅葉)
紅葉(もみじ)してそれも散りゆく桜かな
ー与謝蕪村
『詩華断章』(竹西寛子)に書かれていたエピソードを。著者が、円地文子と列車の旅をともにした時、円地文子が問わず語りに言ったことば、
”このごろはものを知らない人が増えて、しかも知らないことをちっとも恥ずかしがらないのね。私が、『桜紅葉』という短編を書いたでしょう。あの時、「先生、あの題は出版社の何かの間違いだったのですか」って大真面目で聞いてきた人がいるの。それも
出版社に関係がある人。もう「桜紅葉」ってことばも、注釈なしでは通らない時代になったのかと思うとさびしいわ”
ちなみに「桜紅葉」は、俳句の秋の季語。桜の紅葉のことをいう。桜は、ほかの木に先駆けて紅葉を始める。